改訂新版 世界大百科事典 「ニュンフェンブルク宮殿」の意味・わかりやすい解説
ニュンフェンブルク宮殿 (ニュンフェンブルクきゅうでん)
Schloss Nymphenburg
ミュンヘン近郊にある,ドイツ・バロックの代表的な郊外宮殿。ニュンフェンブルクとは〈ニンフの城〉の意。もともとはバイエルン選帝侯フェルディナント・マリアが妻に贈った夏宮で,1664-74年イタリアのバレリAgostino Barelli(1627-87ころ)らが造営。18世紀初頭,同選帝侯マックス・エマヌエルがベルサイユ宮殿に刺激されて左右に広がるバロック宮殿に拡張し,建築家ビスカルディGiovanni Antonio Viscardi(1645-1713)らが担当する。オランダ宮殿建築にならい,独立パビリオンを翼でつなぎ,建物を運河で縁どる形をとった。中央棟はわずかの装飾要素による平たんなファサードをもち,全体に清楚な美を特徴とする。後にF.キュビエによって大広間の内装に手が加えられ,庭園内の小館アマリエンブルクなどのロココ様式による建物が付加された。
→ニュンフェンブルク磁器
執筆者:杉本 俊多
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報