改訂新版 世界大百科事典 「ヌルジュ」の意味・わかりやすい解説
ヌルジュ
Nurcu
第2次世界大戦後のトルコにおけるイスラム宗教運動の一つ。東部アナトリア出身のセイディ・ヌルシーを指導者として,特定の教団(タリーカ)に基礎を置かず,全世界のイスラム教徒を組織化の対象とする。ヌルジュとはヌルシーの著作集《光明(ヌール)の書》の学習者・信奉者を意味する。運動の当面の目標は,トルコ共和国の世俗化・西欧化された現体制を全面的に否定し,コーランとシャリーア(イスラム法)とに基づいたイスラム国家を樹立することにあるが,アラブ諸国,パキスタン,西ドイツなどにも支部をもち,〈イスラム世界国家〉設立プランをもつといわれる。1950年代後半と60年代後半のトルコ政局に大きな影響を与えたが,71年3月の軍部の政治介入以降は,地下活動を行っている。
執筆者:永田 雄三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報