特定の信条や儀礼を共有する人々によって組織された宗教団体であって、多くの地域的または単位的な宗教団体をその傘下に収める全体的集団をいう。
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宗教的信仰や宗教的機能を有する集団を広く宗教集団というが、これには宗教的活動を目的としてできた集団(特殊的宗教集団)と、自然発生的な地縁・血縁集団(家族や村落など)が、その生活活動に付随して祖先神や守護神などを祀(まつ)り、それ自体が宗教的働きを有するに至った集団(合致的宗教集団)とがある。これらの宗教集団の内部に役割の分化を生じ、地位の体系ができて組織化されたものを宗教団体という。宗教団体には、(1)社寺や教会などのように、信者の集合場所を有し、一定の活動圏をもって宗教活動を行う単位宗教団体と、(2)共通の信条と儀礼をもち、これらの単位団体を包括して、しばしば共同の事業を行う包括的宗教団体とがある。後者は宗教の伝統によって、教派、宗派、教会などとよばれてきたが、これらを総称して教団とよぶ。教団は通常、宗教活動を目的に組織された特殊的宗教集団である。しかし、神社のように合致的宗教集団からしだいに組織化が進み、教団を形成するに至ったものや、逆にイスラム国家のように、本来特殊的宗教集団として発生した教団が、国家や全体社会と重なり合って合致集団化したものもある。
教団という用語について、これを歴史的にみると、神道(しんとう)の教派(神社を除く)、仏教の宗派に並ぶものとして、主としてキリスト教系包括宗教団体を表す法律用語として用いられてきた。たとえば、1939年(昭和14)制定の宗教団体法には、「本法ニ於(おい)テ宗教団体トハ神道教派、仏教宗派及(および)基督教其ノ他ノ宗教ノ教団並ニ寺院及教会ヲ謂(い)フ」(第1条)とある。「基督教其ノ他ノ宗教」とあるが、当時実際にはキリスト教だけが公認されていたので、実質的にはキリスト教の教団を意味していた。しかし、現行法制下では、宗教の系統による法律上の名称の区別はいっさい行っていないので、新宗教を中心に神道系、仏教系にも自らの団体名に教団の語を用いるものが出てきている(祖神道(そしんとう)教団、妙智会(みょうちかい)教団など)。また、社会通念のうえからも教派、宗派という語に比べて、教団という語には特定の宗教的系統と結び付く語感が弱く、中立性が高いので、今日では、教派や宗派も含めて包括宗教団体を一般的に示す用語として、「教団」の語が用いられている。
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教団とその下位単位団体との関係は、個別教会―教団という二段構造であるとは限らない。実際には、班―組―法座―支部―教会―教団のような多段構造(立正佼成会(りっしょうこうせいかい)など多くの新宗教)、塔頭(たっちゅう)寺院―一山―宗派のような三段構造(高野山(こうやさん)や善光寺などの一山寺院)、修道院―修道会と教会―司教区という二つの筋の上に中央協議会が位置する、二筋三段構造(日本のカトリック)など、さまざまな形態がある。教団の統制力についても、単位団体の独立性が強く、教団はその単なる連合体にすぎないものから、教団の一体性が強く、単位団体はその有機体的全体集団の部分、下位体系にすぎないものまで、多くのその中間形態がある。こうした教団の類型については、欧米のキリスト教会の類型から得られたチャーチ型、セクト型、デノミネーションなどの概念を修正、一般化して、その適用が試みられているが、現在なお多くの議論が行われている。大別すれば、上から下へのヒエラルキー型と、下から上への積み上げ型に分けられよう。
教団は基本的には単位団体と同様の宗教活動(教義宣布、儀礼執行、信者教化など)を行うが、教義の決定、儀礼の制定、成員の種類や資格の決定などを行い、他の教団との区別をすることも教団固有の機能である。また聖職者の養成、教義・儀礼の研究、出版活動なども主として教団のレベルで行われる。教団は同系統の他教団と連合し協力組織をつくり、さらに高次の宗教団体をつくることもある。
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