日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネズミキツネザル」の意味・わかりやすい解説
ネズミキツネザル
ねずみきつねざる
mouse lemur
哺乳(ほにゅう)綱霊長目キツネザル科ネズミキツネザル属に含まれる動物の総称。この属Microcebusの原猿には2種があり、マダガスカル島に分布する。ショウネズミキツネザルM. murinusはミラーネズミキツネザルの別名をもつもっとも小形の霊長類の一つで、頭胴長約13センチメートル、尾長17センチメートル前後。体重は約60グラムしかない。歯式は他のキツネザルと同じ
で計36本。体毛は柔らかく、灰色ないし赤褐色と個体差がある。目と耳介が大きく、ガラゴに似た顔つきで、鼻から額に白い筋(すじ)が通る。コクレルネズミキツネザルM. coquerelはすこし大形で、頭胴長25センチメートル前後、尾長約28センチメートル、鼻口部の白い筋がない。
おもに昆虫と果実を食べる夜行性単独生活者で、細い枝の間を敏捷(びんしょう)に動く。昼間は木のうろの中などで眠る。乾期にはやや不活発になる時期がある。
[上原重男]