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霊長類 れいちょうるい Primates

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

霊長類
れいちょうるい
Primates

哺乳綱霊長目に属する動物の総称。原猿亜目 (ツパイキツネザルアイアイロリスメガネザルなど) と真猿亜目 (オマキザルオナガザル,ヒトなど) の2亜目に分けられる。四肢には指が5本あり,多くは扁爪 (ひらづめ) をもっている。

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知恵蔵2015の解説

霊長類

広義のサル類で、哺乳綱の中の目(もく)の1つ。食虫目と近縁で、新生代の初めから進化してきたグループ。約200種が現生している。原猿(prosimians)と真猿(simians)に分けられる。真猿は狭義のサルで、新世界ザル(オマキザル)と旧世界ザル(オナガザル)とに分けられる。旧世界ザルの中に、類人猿(apes)と人類(humans)も含まれる。進化の傾向としては、樹上生活への適応として、枝をつかむために手足の親指と他の指が向かい合うようになり(拇指〈ぼし〉対向性が発達)、距離を測るために両目で見るようになった(双眼視・立体視)。また、樹上で果物などの餌を探すために色覚が発達し、嗅覚が退化した。類人猿は体が大きくなり、長い腕を使って枝から枝へ渡るのが特徴。その結果、尾が退化した。類人猿の中では、テナガザルオランウータンゴリラチンパンジー及びボノボ(ピグミーチンパンジー)の順にヒトと近縁になる。

(馬場悠男 国立科学博物館人類研究部長 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

れいちょう‐るい〔レイチヤウ‐〕【霊長類】

霊長目の哺乳類の総称。サル類で、ヒトも含まれる。手足にふつう5本の指をもち、第1指は他の4本と向かい合って物をつかむことができ、多くは平爪をもつ。足はかかとまで地面につけて歩く。目は両方が並んで前を向き、立体視ができる。樹上生活に適応して進化したとされ、大脳が発達している。11ないし14科約180種に分類される。霊長目。サル目。

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百科事典マイペディアの解説

霊長類【れいちょうるい】

哺乳(ほにゅう)綱の一目。サル類とヒト類を含む。手足は5指で平爪(ひらづめ)があり,第1指は他指に対向し,物を握ることができる。多くは眼が前方に向かい,双眼視が可能。

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栄養・生化学辞典の解説

霊長類

 サル目のこと.哺乳類正獣下綱の目の一つで,サル,ヒトなどが属する.

出典|朝倉書店
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世界大百科事典 第2版の解説

れいちょうるい【霊長類 primates】

霊長目Primatesに属する哺乳類の総称。霊長は万物の霊長の意で,動物界でもっとも進化をとげた分類群であることを示している。食虫目に類似の動物から分化し,樹上生活を通じて適応放散した一群と考えられている。 霊長目は,原猿亜目Prosimiiと真猿亜目Anthropoideaの2亜目に分けられ,前者はさらにキネズミ下目Tupaiiformes,メガネザル下目Tarsiiformes,ロリス下目Lorisiformes,キツネザル下目Lemuriformesの4下目に,また後者はオマキザル上科Ceboideaオナガザル上科Cercopithecoidea,ヒト上科Hominoideaの3上科に分けられる。

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大辞林 第三版の解説

れいちょうるい【霊長類】

霊長目の哺乳類の総称。動物界で最も進化の程度の高いものを含む。蹠行性しよこうせいで、多くは樹上にすみ、植物食あるいは雑食。少数の例外を除き、手足とも五指を有し、拇指ぼしは平爪ひらづめをもち、他の四指と向かい合い、物を握ることができる。多くは目が顔の前面にあり、両眼で立体視をし、色覚の完全なものが多い。盲腸をもつ。現生のものは、原猿亜目のツパイ・アイアイなど六科と、真猿亜目のオナガザル・ショウジョウ(オランウータン)・ヒトなど五科に分類され、約170種が知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

霊長類
れいちょうるい
primates

哺乳(ほにゅう)綱霊長目に属する動物の総称。この目Primatesは、動物界でもっとも進化を遂げたヒトや類人猿を含むが、同時に原始的な原猿類をも含み、このこと自体が霊長目の大きな特徴の一つである。その系統を追うことは、原始哺乳類からヒトまでの進化のあとをたどることに通ずる。[伊谷純一郎]

発生と系統

霊長類は約7000万年前に食虫類に類似の哺乳類から分岐したといわれており、最初の化石は北アメリカ・ロッキー山脈沿いの暁新世中期の地層から出土する。フェナコレムール科Phenacolemuridaeなど3科6属が知られている。これらは始新世以降の原猿類とはつながらない原始性を残しているが、食虫類とははっきり区別でき、両目の分岐は暁新世初期にさかのぼると考えられている。暁新世の原猿は、前方に突出する大きい切歯をもち、閉じていない眼輪をもつものもあった。暁新世後期にも北アメリカとヨーロッパでさらに7属の化石が出土している。原猿類は始新世には、北アメリカ、ユーラシアに分布を広げ、アダピス科Adapidae、オモミス科Omomydaeなど5科四十数種の化石が知られ、繁栄期を迎える。これらは暁新世の原初的原猿とは異なり、より大きな脳と目を備え、鼻口部は短縮し、すでに高等霊長類に向かう進化のスタートが切られたことを物語っている。メガネザル科、そして最初の真猿アンフィピテクスAmphipithecusなどがこの時期に出現している。始新世に全盛を誇った原猿は漸新世には姿を消し、ヒトニザル上科が姿を現す。それらはエジプトのファイユームから出土した化石群で、原猿から真猿への移行を物語るアピィディウムApidiumやパラピテクスParapithecus、ショウジョウ科Pongidaeの祖先と考えられるエオロピテクスAeolopithecus、エジプトピテクスAegyptopithecusなどである。エオロピテクスはテナガザルへの分岐を示すし、エジプトピテクスは中新世の類人猿につながるものと考えられている。このほか、旧世界ザルの先祖と推定される化石も出ている。中新世と鮮新世にはふたたび多くの霊長類の化石がみられ、その多くは現生種と深いつながりをもつもので、分布もユーラシア、アフリカ、南アメリカに及ぶ。そしてヒトニザル上科の繁栄期を迎え、プロコンスルProconsul、ケニアピテクスKenyapithecus、さらに鮮新世末にはアウストラロピテクスAustralopithecus類が出現し、ヒトの時代である第四紀を迎える。[伊谷純一郎]

分類

霊長目は、原猿亜目Prosimiiと真猿亜目Anthropoideaに、さらに前者をメガネザル下目Tarsiiformes、ロリス下目Lorisiformes、キツネザル下目Lemuriformesの3下目に、また後者をオマキザル上科Ceboidea、オナガザル上科Cercopithecoidea、ヒトニザル(あるいはヒト)上科Hominoideaの3上科に分ける。科のレベルでは、原猿はメガネザル科Tarsiidae、ロリス科Lorisidae、キツネザル科Lemuridae、インドリ科Indriidae、アイアイ科Daubentoniidaeの5科に、真猿はオマキザル科Cebidae、マーモセット科Callithricidae、オナガザル科Cercopithecidae、ショウジョウ科Pongidae、ヒト科Hominidaeの5科、目全体で10科に分かれる。属以下のレベルについては諸説あるが、ほぼ55属約180種とみてよい。[伊谷純一郎]

特徴

上述のように原始的な種ときわめて高等な種を含む霊長目を定義することはかならずしも容易ではないが、すべての種は次の特性を共有している。平づめ、発達した鎖骨、母指対向により物を握ることのできる手と足、閉じた眼輪(暁新世の原猿のあるものを除く)をもつ。他の哺乳類との大きな相違は、霊長類が樹上への適応を通じて独自の進化を遂げてきたということであり、上記の特徴も四肢と目に集中しているのであるが、それは樹上での活動を保証する手足と、遠近の目測を可能にする目を意味している。さらに目の変化と並行して、鼻口部の短縮、歯数の減少の傾向がみられる。原始的な哺乳類の歯式の基本型は

の44本であるが、すべての霊長類の歯はこれより少なく、現生種には32本を越えるものはなく、最少はアイアイの18本である。そして、大脳とくに皮質の発達、単なる歩行器官からの手の分化、産子数の減少、妊娠期間の長期化、寿命の延長、コミュニケーションの発達、社会構造の複雑化などが、系統的な段階があがるにつれて顕著に現れてくる。[伊谷純一郎]

霊長類学

霊長類を対象にする学問、すなわち霊長類学primatologyは、自然人類学の基礎分野の一つに位置づけられ、人類進化史探究の科学的接近を目的とする。また、霊長類はヒトに近く発達した脳神経系をもつがゆえに、医学・薬学・神経生理学・心理学などの重要な実験動物とされる。20世紀後半に至って、野外研究・実験的研究ともに盛んになり、各国に霊長類研究所がつくられた。国際霊長類学会International Primatological Societyは隔年に開催されている。国際学術誌として『Primates』(日本)、『Folia Primatologica』(スイス)、『International Journal of Primatology』『American Journal of Primatology』(アメリカ合衆国)がある。[伊谷純一郎]
『伊谷純一郎編『人類学講座2 霊長類』(1977・雄山閣出版) ▽杉山幸丸著『サルの百科』(1996・データハウス) ▽西田利貞・上原重男著『霊長類学を学ぶ人のために』(1999・世界思想社)』

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世界大百科事典内の霊長類の言及

【化石霊長類】より

…地質時代に生息し,化石として残されている霊長類の総称。中生代も終わる頃になると,大陸の地形に大きな変化がみられ,ロッキー山系の隆起もこの頃に生じた。…

【サル(猿)】より

…ヒトにもっとも近縁な動物で,ヒトとともに哺乳綱霊長目をなす。もともとニホンザルを指すことばであったが,現在ではヒト以外の霊長類の総称として用いられ,狭義には,真猿類のオマキザル科とオナガザル科の種を指す。英語では,尾の長いサルをmonkey,尾のないサルをape,原猿類をlemur,またはprosimianといっている。…

【人類】より

…人種を考える場合には人類の系統的・発生的側面に,また民族を考える場合には生活面を重視しその地縁的・文化史的側面に着目することになろう。
【社会的文化的特徴とその進化】
 かつてヒトを定義するための多くの特性があげられたが,近年の霊長類を対象とした研究によってそれらの中のいくつかはヒトの定義に耐えうるものではないことが明らかにされるにいたった。ヒトは道具を使用し道具を作る動物であるといわれたが,野生チンパンジーについての多くの観察がそれを無効にしたというのもその一例であろう。…

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