化学辞典 第2版 「ハギンスの式」の解説
ハギンスの式
ハギンスノシキ
Huggins equation
高分子溶液の粘度ηは,溶質分子の分子量に依存する重要な量であるが,濃度cの小さいところでは,溶媒粘度 η0 のまわりにテイラー展開できて,
η = η0(1 + [η]c + k[η]2c 2 + o(c 3))
と書ける.ここで,cの一次の項への係数[η]は極限粘度数または固有粘度,二次の項への係数kはハギンス定数とよばれる量である.この式はM.L. Hugginsによって提唱されたもので,ハギンスの式という.kの値は溶媒,温度にあまりよらないが,分子間の流体力学的相互作用,熱力学的相互作用に依存する.剛体球では0.7,θ温度以下では0.7以上,θ温度では0.5の値を示し,排除体積効果が大きい場合には0.3に近づく.したがって,高分子溶液が分子分散しているか否かの判定に利用できる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報