改訂新版 世界大百科事典 「ハブリーチェク」の意味・わかりやすい解説
ハブリーチェク
Karel Havlíček Borovský
生没年:1821-56
チェコ人ジャーナリスト,作家,政治家。1843年から1年間モスクワに滞在したが,ツァーリズムのロシアに失望し,パン・スラブ主義に批判的となり,チェコ民族の自立性を主張するにいたった。48-49年の革命期のプラハで,チェコ語の《国民新聞》編集者,オーストリア帝国議会議員としてチェコ人自由主義者の代表となる。革命鎮圧後のバッハ体制のもとで政府とカトリック教権主義を激しく非難し続けたために,51-55年に南チロルのブリクセン(現,ブレッサノーネ)に幽閉された。圧制に対する不屈の闘士としてチェコ人の間に根強い人気をもつ。有名な風刺詩《聖ウラジミールの洗礼》《チロル悲歌》などのほか,ゴーゴリ,ボルテール,ミツキエビチなどの作品の翻訳がある。
執筆者:稲野 強
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報