日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンガリー舞曲」の意味・わかりやすい解説
ハンガリー舞曲
はんがりーぶきょく
Ungarische Tänze
ドイツの作曲家ブラームスがロマ(かつてはジプシーとよばれた)の音楽をピアノ連弾用に編曲した舞曲集。全21曲。ハンガリーのバイオリン奏者エドゥアルト・レーメニイに刺激されてロマの音楽に興味をもち、これを収集・整理していたブラームスは、1869年、それまでに完成していた10曲の編曲をまとめて出版し、これが大好評を博したため、さらに80年にも続巻を刊行した。作曲家自身も「編曲」と位置づけているように完全なオリジナル作品ではないが、ロマ特有の旋律とリズムは、当時の社会に流行していた土俗的なものに対するあこがれを満たし、また家庭音楽会に適したピアノ連弾曲ということもあって、広く親しまれるところとなった。とりわけ第五番嬰(えい)ヘ短調と第六番変ニ長調が有名である。
[三宅幸夫]