日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンバリー学派」の意味・わかりやすい解説
ハンバリー学派
はんばりーがくは
イスラム教スンニー派の四大法学派の一つ。イブン・ハンバルを学祖とする。10世紀中ごろまではバグダードを中心として栄えた。その後13世紀にシリアに、イブン・タイミーヤ(1263―1328)、その弟子のイブン・カイイム・アルジャウジーヤなどの法学者が出たが、しだいに衰退していった。現代では四大法学派のなかではもっとも勢力が弱い。18世紀にアラビア半島でおこったワッハーブ派は、この派に属していたので、サウジアラビアではハンバリー学派が支配的である。この学派は、類推(キヤース)を極力排除し、コーランとスンナ(ムハンマドの言行によって指示された聖なる慣行)のみを法源とする伝統主義の立場をとって、思弁神学や神秘主義に反対した。
[竹下政孝]
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