化学辞典 第2版 「バイノーダル分解」の解説
バイノーダル分解
バイノーダルブンカイ
binodal decomposition
2種類以上の混合組成をもつ固溶体の相は,温度の低下とともに不安定になり,混合組成にゆらぎが発生し,単成分に分解する傾向を示す.一定温度条件下で,混合系の自由エネルギーは組成に対して極小値を示す.この極小値を示す組成を温度に対してプロットすると,二元系温度組成図(バイノーダル線)が得られる.混合系の自由エネルギーの組成に対する二次微分が正の領域では,多少の濃度ゆらぎに対しても安定であるが,核が発生するような濃度ゆらぎが起こると2相に分離することをバイノーダル分解という.これに対し,上記の二次微分の値が負になる領域では,核形成を伴わず,微小な濃度ゆらぎが原因となり,2相に分離し,スピノーダル分解が起こる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報