改訂新版 世界大百科事典 「バルカン社会主義連邦」の意味・わかりやすい解説
バルカン社会主義連邦 (バルカンしゃかいしゅぎれんぽう)
1910年バルカン諸民族の社会民主主義者によって設立された組織。20世紀初めバルカン諸政府の民族主義的な政策とヨーロッパ列強のたび重なる干渉によって国際的な危機が深まる中で,当時勢力を増大しつつあった労働者階級の間にバルカン地域の平和を求める運動がひろまった。創立の主導権を握ったのがセルビア,ブルガリアいずれの党であったかについては意見が一致しないが,1910年1月にはベオグラードで創立大会が開かれ,セルビア,ブルガリア(テスニャキ派),ギリシア,ルーマニア,オスマン・トルコ等の代表が参加した。バルカン諸国民間の敵対に反対するこの運動の意図は,バルカン戦争と第1次世界大戦によって覆されはしたが,15年の第2回大会ではバルカン共和国連邦の実現のために闘う義務を各党に課している。ロシア革命後,20年の大会でバルカン共産主義連邦と改称され,機関紙《バルカン連邦》を発行し,30年代初めまで存続したが,おそらくコミンテルンの意向に合わなかったがために解散させられた。
執筆者:萩原 直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報