改訂新版 世界大百科事典 「パジャジャラン」の意味・わかりやすい解説
パジャジャラン
Pajajaran
インドネシア,西ジャワ(スンダ地方)最後のヒンドゥー王国。建国の伝説には不明の点が多く,史実として知られるのは1333年ラトゥ・デワタが現在のボゴール市に近いパクアンに都を定めたときからである。1350年に即位したプラブー・ワンギ(シリワンギ)は,57年に自分の娘とマジャパイト国王ハヤム・ウルクとの結婚のために後者の都に赴いたとき,奸計により包囲攻撃を受け,部下とともに殺された。しかしパジャジャランはマジャパイトに抗してよく独立を保った。同国はスンダ・カラパ(現,ジャカルタ),バンテン(バンタム)などの良港をもち,盛んに貿易を行っていた。1522年にスンダ・カラパ港を訪れたポルトガル人たちは,同地のチリウン河口に商館を置く協定を結んだが,5年後に彼らがこの地を再訪したときには,新興のイスラム王国バンテンが同港を領有していた。バンテン王国はしだいにパジャジャランを内陸部へと圧迫し,79年ころこれを滅亡させた。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報