日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒマチャル・プラデシュ」の意味・わかりやすい解説
ヒマチャル・プラデシュ
ひまちゃるぷらでしゅ
Himachal Pradesh
インド北部の州。パンジャーブ平原の北に位置し、東は中国チベット自治区との国境である。1971年カングラ、マンディなど12県によってインド18番目の州となった。面積5万5673平方キロメートル、人口607万7248(2001)、686万4602(2011センサス)。州都はシムラ。大ヒマラヤ山脈、小ヒマラヤ山脈、シワリク丘陵が州全体に広がり、山がちで平野に乏しい。チェナブ、ラービ、ビアス、サトレジなどパンジャーブ地方の諸河川がヒマラヤ山列の中に開いた谷がおもな居住空間で、小ヒマラヤ山脈、シワリク丘陵地域では林業・農業が営まれるが、大ヒマラヤ山脈中は移牧、隊商の活躍の場となり、チベット系住民もみられる。州の主産物はリンゴ、モモなどの果実や木材で、食料は自給できず平原地方に依存している。全般に山岳・農村地帯で、集落の規模は小さく、都市人口の比率は低く、最大の都市シムラでさえ周辺部を含む人口が10万9860(1991)、81万4010(2011センサス)である。チベットを追われたダライ・ラマの住むダラムサラやシムラ、ダルハウジーなどの山上避暑地をはじめ、クル、チャンバの峡谷は観光地として有名。
[林 正久]