改訂新版 世界大百科事典 「クル」の意味・わかりやすい解説
クル
Kuru
古代インドの部族名,国名。クル族は後期ベーダ時代(前1000-前600ころ)にガンガー川上流域に住んでいた部族で,前期ベーダ時代(前1500-前1000ころ)の主要部族であったバラタ族の後裔とみられている。南隣のパンチャーラ族と親縁関係にあったため,クル・パンチャーラと併記されることが多い。クル族の住地(クルクシェートラ)はアーリヤ文化の中心であり,バラモン教の聖地として知られる。《マハーバーラタ》の大戦争が戦われたのもこの地である。前6世紀ころ,クル国は〈十六大国〉の一つに数えられていたが,ほどなく滅亡した。クル族の歴史は伝説の霧に包まれており,不明な点が多いことでも知られる。
執筆者:山崎 元一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報