日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラービ」の意味・わかりやすい解説
ラービ
らーび
Isidor Isaac Rabi
(1898―1988)
オーストリア生まれのアメリカの物理学者。幼時に家族とともにアメリカに移住した。コーネル大学を卒業し、コロンビア大学で結晶の磁気的性質に関する研究を行い学位を得た。そののちヨーロッパに渡り、ゾンマーフェルト、ボーア、パウリ、ハイゼンベルクらとともに研究し、帰国後コロンビア大学講師を経て、1937年同大学物理学教授となった。1940年にはマサチューセッツ工科大学教授となり、同大学の放射線研究所副所長を務め、レーダーおよび原爆の開発(マンハッタン計画)に従事した。共鳴の原理を巧みに応用した装置を製作し、それを用いて原子核の力学的モーメント・磁気モーメントを精確に測定することに成功。この核磁気共鳴発見の功績によって1944年ノーベル物理学賞を受けた。
[小林武信]
『イシドール・I・ラビ著、松井巻之助訳『文化の中心としての科学』(1971・紀伊國屋書店)』▽『ノーベル財団著、中村誠太郎・小沼通二編、益田義賀他訳『ノーベル賞講演 物理学6』(1978・講談社)』▽『楠瀬淳三編注『科学と文化』(1979・朝日出版社)』