知恵蔵 「ヒミコ」の解説
ヒミコ
137億年前に起きたある種の大爆発、ビッグバンによって宇宙が生まれたとするビッグバン宇宙論によれば、ヒミコが見つかったのはビッグバンから8億年後にあたる129億年前の初期宇宙である。ビッグバン宇宙論では、そのころの宇宙には小さな天体しか存在しなかったとされている。ビッグバンの10億年後頃から小さな天体が合体集合してクエーサーや銀河が誕生したと考えられてきた。ところが、ヒミコの大きさは地球がある天の川銀河の半分ほどの5万5千光年にも広がる。その質量は太陽の400億個分と試算され、同時代の他の銀河の10倍以上になる。その正体を巡って、1つの巨大な銀河であるとする説の他、超大質量ブラックホールにより電離されたイオン化ガスの雲ではないかとする説、銀河誕生の初期にみられると予想されている大規模なガス流であるとする説、2つの若い銀河が激しく衝突して爆発的星形成を起こすことによる超銀河風とする説などの諸説があり、ビッグバン宇宙論の根幹にかかわる問題として研究が進められている。
(金谷俊秀 ライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報