ビディヤーパティ(英語表記)Vidyāpati

改訂新版 世界大百科事典 「ビディヤーパティ」の意味・わかりやすい解説

ビディヤーパティ
Vidyāpati

14~15世紀,北東インドのミティラー地方の詩人。自作の断片的な叙述によると,1380年にバラモンの家に生まれ,幼いころから父に従ってガネーシュワル王の宮廷出仕,1424年に没したとされるが,定かでない部分が多い。ビディヤーパティの作品には,シバ信仰とビシュヌ信仰の両方にわたること,古典語たるサンスクリットと近代語の古層のアワハットの両方による著作があることなど,文化的な変動期の時代背景が色濃く反映している。近代語の作品では,クリシュナラーダーの恋愛を主題として北インドで初めて讃歌にした《パダーワリーPadāvalī》,ガネーシュワル王の王子キールティシンフが,父を殺害したスルタンを退けてみずから王位につくにいたる経緯を描いた《キールティラター》などがある。後者の成立は1402年または1404年とされ,後期アパブランシャの文語アワハットの代表的な文献として,言語史上の重要資料である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のビディヤーパティの言及

【インド文学】より

…ラーマ信仰の作品では,トゥルシーダースの叙事詩《ラーム・チャリット・マーナス》,ナーバーダースの《バクト・マール(熱烈信仰者列伝)》(16世紀末)などが今日なお親しまれている。クリシュナ信仰の主要作品には,ビディヤーパティの《パダーワリー(賛歌集)》,スールダースの《スール・サーガル》,ミーラー・バーイーの《パダーワリー》(16世紀)などがある。ラーマ信仰文学もクリシュナ信仰文学も,それぞれの教団・教派の僧の手になるものが多いが,世俗の信徒の寄与も大きい。…

※「ビディヤーパティ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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