日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピンソン」の意味・わかりやすい解説
ピンソン(兄弟)
ぴんそん
スペインの兄弟の航海者。長兄マルティン・アロンソMartín Alonso Pinzón(?―1493)、次兄フランシスコ・マルティンFrancisco Martín P.(?―1515)、末弟ビセンテ・ジャネスVicente Yáñez P.(?―1514)。いずれもコロンブスの第1回航海(1492~93)に同行した。コロンブスは、航海準備をアンダルシア地方の港町パロスで進めたが、このときパロスで手広く海運業を営む三兄弟が未知の海への航海参加をしぶっていた船乗りたちを説得したため、コロンブスはようやく出発にこぎ着けた。
マルティン・アロンソは、船団の一隻、ピンタ号の船長を務め、コロンブスにより「剛胆にして才覚ある男」と評された。コロンブスとは対等の関係で行動したが、二度にわたり単独航行をしてコロンブスの不興を買った。パロス帰港後まもなく死亡した。次兄フランシスコ・マルティンは、ピンタ号の水夫長を務めた。末弟ビセンテ・ジャネスは、ニーニャ号の船長を務めた。その後も新大陸への航海を試み、ブラジルの海岸に到達し(1500)、カリブ海の西からユカタン半島へと探査(1508)した。
[青木康征]