改訂新版 世界大百科事典 「フアナ」の意味・わかりやすい解説
フアナ
Juana
生没年:1479-1555
一般に狂女フアナJuana la locaの名で知られる。スペインのカトリック両王の次女で,スペイン・ハプスブルク朝初代のカルロス1世(カール5世)の母。姉と兄の死によってカスティリャとアラゴンの王位を継承した(在位1504-55)が,その後女性問題の絶えない夫フィリップへの嫉妬(しつと)が高じて精神に異常をきたし,父のフェルナンドから統治不能と見なされた。夫の死後病状はさらに悪化,1509年以後はトルデシーリャスの城に閉じこもり,ここで死去した。なお,フアナの王位継承権は発病によって消滅したわけではなく,両親の死後はカスティリャとアラゴンの女王と称され,公文書では一時その名は実質上の王位継承者となった息子カルロスのそれに先行した。
執筆者:小林 一宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報