ファン族(読み)ファンぞく(英語表記)Fang

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファン族」の意味・わかりやすい解説

ファン族
ファンぞく
Fang

赤道ギニアおよびガボン北部の森林に住むバンツー語系の一民族。人口は推定で約 70万。また,カメルーンのサナガ川からガボンのオゴウェ川河口に分布する民族集団を含む総称として,この名を用いる人類学者もいる。この場合,人口は 300万人をこえると推定される。おもに言語基準により,3群に分けられる。 (1) 北部のベティ族 これにはエトン,エウォンド (ヤオウンデ) ,ベネの各集団が含まれる。 (2) ブル族 これにはブル,フォン,ザマン,イェリンダが含まれる。 (3) 南部のファン族 これにはファン,ントゥム,ムバエが含まれる。伝承によれば,19世紀初めにサナガ川右岸のサバナ高地から現在の地に移住したという。外婚制父系氏族が強く,政治組織は発達していない。狩猟にすぐれていたが,現在はカカオ栽培に従事する者が多い。アニミズム祖先崇拝の伝統宗教も,キリスト教に代ったところがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のファン族の言及

【ガボン】より

…【端 信行】
[住民,社会]
 先住民のピグミー系のバビンガ族が森林で狩猟採集生活を送っているが,その人口は数千人に減少している。住民の大多数はバントゥー系で,ファン族,エシラ族,アドゥマ族,オカンデ族,バコタ族などが有力である。最も人口の多いファン族は16世紀ごろカメルーン地方から南下してきたが,リーブルビル近辺に居住していたムポングウェ族などを文化的に吸収している。…

【カメルーン】より

…バントゥー語族の起源は一説にはカメルーン地域に求められるが,今日,バントゥー語系部族はカメルーン南部の森林地帯に住む。おもな部族は首都ヤウンデに多数居住するエウォンド族や,そのほかブールー族,バネ族,エトン族などファン族と総称されるグループである。ファンはヨーロッパ人の到来時,鉄の技術で驚嘆させた。…

※「ファン族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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