フェイフォ(その他表記)Fai Fo

改訂新版 世界大百科事典 「フェイフォ」の意味・わかりやすい解説

フェイフォ (会舗
)
Fai Fo

ベトナム中部,旧クアンナム省の省都ホイアンHoi Anの古名。17世紀初頭,クアンナム(広南)朝がフエに都して以来,トゥーラン(現,ダナン)とともに国際貿易港として栄えた。とくにこの市の日本人町は朱印船貿易によって繁栄し,伊勢の豪商角屋七郎兵衛をはじめ,多くの日本人が移住した。市中の来遠橋は別に日本橋と呼ばれ,郊外には〈日本平戸顕考弥次郎兵衛谷公之墓〉(1647建),〈日本考文覧具足君墓〉(1689建)が残るという。しかし1635年の徳川幕府による渡航禁止令以降,日本人町はしだいに衰退した。一方,当時の交易の中心は絹,生糸,ショ糖の日本への輸出であったが,17世紀末にはベンガル生糸に,18世紀にはジャワ糖に敗れ,また日本国内に自給体制が整備されるとともに,ベトナムと日本との交易は廃れ,貿易港フェイフォも急速に忘れられた。1774年華僑の李才,集亭がタイソン西山)のグエン(阮)氏に呼応して蜂起し,続いてグエン・バン・ニャク(阮文岳)によって占領され,市は灰燼に帰した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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