改訂新版 世界大百科事典 の解説
フェダーイーヤーネ・イスラーム
Fedā'īyān-e Islām
第2次世界大戦中,セイエド・モジタバー・ミールラウヒー(後にナバーベ・サファビーと呼ばれる)が中心となり,テヘランに組織されたイスラム・ファンダメンタリストの小グループ。シャリーアの厳格な実施,非イスラム性の根絶を目的とし,テロを常套手段とした。既存のシーア派イスラムへの批判を強めていたカスラビー(1946),宮内大臣アブドル・ホセイネ・ハジール(1949),首相アリー・ラズマラー(1951)らを相次いで暗殺し,モサッデク政権にも少なからず脅威を与えた。当時の有力宗教指導者アーヤトッラー,カーシャーニーの庇護を受けたが,モサッデク政権崩壊後は活動が下火となった。1955年,ホセイネ・アラー首相の暗殺を契機に,サファビー,タフマースビー,バーヘディーらグループの有力メンバーが逮捕・処刑され,事実上,組織としての活動も終息した。
執筆者:八尾師 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報