下火(読み)シタビ

デジタル大辞泉 「下火」の意味・読み・例文・類語

した‐び【下火】

火勢が衰えること。「山火事下火になる」
盛んだった物事勢いがだんだん衰えてくること。「人気下火になる」
オーブンなどで下から当てる火。⇔上火うわび
茶の湯で、三炭さんたんの一。茶事の際に、初炭しょずみの前に、あらかじめ風炉ふろに入れておく火。起こし炭。
[類語](1火事火災火難出火失火炎上大火小火ぼや小火しょうか自火近火急火怪火不審祝融しゅくゆう回禄かいろく大火災大火事山火事火の海焼失焼亡焼尽丸焼け半焼け全焼半焼火元火の元類焼貰い火延焼飛び火引火猛火火の手鎮火消火火消し消防火事場焼け跡/(2減退後退下り坂退潮尻すぼまり廃頽落ち目左前不振じり貧どか貧先細り下がり目低落廃る廃れる傾く寂れる衰える尻下がり尻切れとんぼ竜頭蛇尾孤城落日じり安貧乏貧困貧窮貧苦窮乏困窮困乏困苦生活苦ひん赤貧極貧清貧貧寒素寒貧すかんぴん不如意ふにょい文無もんな末期的衰残弱体化衰弱衰微衰退頓挫衰え地に落ちる没落落ちぶれるうらぶれる成り下がる零落凋落ちょうらく転落落魄らくはく淪落堕落末路斜陽成れの果て見る影もない朽ちる消沈衰亡たそがれ失速焼きが回る耄碌もうろくぽんこつ火の車終末大詰め尾羽うち枯らす世も末落ち目尻すぼみ

あ‐こ【火/×炬】

唐音禅宗で、火葬のときに導師が遺体を焼く燃料に火をつけること。のちにはを唱えてしぐさをするだけになった。秉炬ひんこ

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精選版 日本国語大辞典 「下火」の意味・読み・例文・類語

した‐び【下火】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 火勢の衰えること。〔和英語林集成初版)(1867)〕
  3. 物事の勢いが弱くなること。
    1. [初出の実例]「不図(ふと)又文三の言葉尻から燃出して以前にも立優る火勢〈略〉次第次第に下火になって」(出典浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
    2. 「それとも映画がすっかり下火になってテレビが盛んになったせいか」(出典:笹まくら(1966)〈丸谷才一〉一)
  4. 下からあたる火。
  5. 茶道で、炭点前をする以前にあらかじめ風炉や炉に入れておく火。
    1. [初出の実例]「都人茶の湯を出せば小野山のすみやくかまも下火つくろふ」(出典:狂歌・吾吟我集(1649)四)
    2. [その他の文献]〔南方録(17C後)覚書〕

あ‐こ【下火】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「下火」の唐音 ) 禅宗で火葬の時、松明(たいまつ)で棺に火をつけながら引導をわたす儀式。後には松明に火をつけないで、偈(げ)を唱えて、点火のしぐさをするだけになった。
    1. [初出の実例]「請瑞泉師兄応曇芳下火」(出典:空華日用工夫略集‐応安四年(1371)九月二日)
    2. 「下火(アコ)は、等持院の東陵和尚にてぞおばしける」(出典:太平記(14C後)三三)

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