フォス湾(読み)フォスわん(その他表記)Golfe de Fos

改訂新版 世界大百科事典 「フォス湾」の意味・わかりやすい解説

フォス湾 (フォスわん)
Golfe de Fos

フランス南部,地中海岸の湾。マルセイユの西北西,ローヌ川河口の東に位置する。付近に深い水路のあること,潮汐がないこと,クローの未利用な広大な平地の存在,こうした条件から1965年以降国の新しい地域開発の拠点として選ばれ,港湾ならびに臨海工業地帯の建設が進められた。30万トン級の鉱石専用船やタンカー接岸可能な3本のドックが掘り込まれ,それぞれ工業用・エネルギー用岸壁,コンテナー貨物・自動車・木材用岸壁,および鉄鋼・石油製品輸出用岸壁となっている。フォス港湾はマルセイユ港湾局に属し,全体の取扱高(1億0400万t。1980年)の3分の2を占めている。フォス臨港地帯(7000ha)の半分以上は工場によって占められており,臨海工業地域を形成している。年間400万tの生産能力をもつソルメール製鉄所,60万tの特殊鋼を生産するユジン・アシエ社などの鉄鋼業,石油化学の原料ポリエチレンを生産するICI(アイシーアイ),塩素を生産するペシネー社などの化学工業が立地し,鉄鋼・石油化学のコンビナートを形成している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android