フランス言語図巻(読み)フランスげんごずかん(その他表記)Atlas linguistique de la France

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フランス言語図巻」の意味・わかりやすい解説

フランス言語図巻
フランスげんごずかん
Atlas linguistique de la France

J.ジリエロンがつくった言語図巻。すぐれた調査協力者 E.エドモンが 1920項目の質問票をもち,フランス各地 639地点を実地調査したものをまとめたもので,地図に各語形が直接書込まれている。 1902~10年に 35巻が刊行され,02年同解説編,12年同索引編,20年同補遺編,そして 14~15年にコルシカ編が出た。実地調査であること,音韻項目だけでなく,同じ意味を表わす単語の調査にも重点をおいたことなどが,ドイツの G.ウェンカー言語地図と異なる。この図巻に基づくジリエロンの研究で言語地理学が確立することになった。

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世界大百科事典(旧版)内のフランス言語図巻の言及

【言語地理学】より

…ドイツのウェンケルG.Wenker(1852‐1911)に始まり,フランスのJ.ジリエロンによって確立した。これを象徴するのがジリエロンとその助手エドモンE.Edmont(1854‐1926)との共著《フランス言語図巻Atlas linguistique de la France》35巻および補遺(1902‐09,14,20)である。 言語地理学が明らかにしたことは,〈語にはそれぞれの歴史がある〉ということで,語(単語)ごとの境界線(等語線)を引くことはできても,言語の境界線は引けないということである。…

【ジリエロン】より

…くしくもジリエロンと生没年が同じ)によって,フランス全域と周辺のフランス語地域638地点を一定の調査項目について実地に面接調査させ,その結果を1946葉(コルシカ島を含む)の言語地図にして発表した。これが《フランス言語図巻Atlas linguistique de la France》35巻(1902‐14)および補遺1巻(1920)である。〈いなか者〉の武骨さがわざわいして母校内の人間関係はよくなかったし,学界でも新しい分野の開拓者として孤立しがちだった。…

※「フランス言語図巻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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