ジリエロン(読み)じりえろん(英語表記)Jules Gilliéron

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジリエロン」の意味・わかりやすい解説

ジリエロン
Gilliéron, Jules Louis

[生]1854.12.21. ヌーブビル
[没]1926.4.26. シェルネルツ
スイス生れのフランスの言語地理学者。フランスの高等学術研究院に学び,1883年から同校のロマンス語方言学の講座を担当。 J.P.ルスロとともに『ガロ・ロマン方言会報』 Revue des patois gallo-romans (1887~92) を著わし,93年にはフランス方言学会を創立。 97年から4年間,E.エドモンの助力を得てフランスを中心に言語調査を行い,『フランス言語図巻』,『補コルシカ島編』 (4巻,1914~15) を著わし,言語地理学を打立てた。その他の著書『「蜜蜂」を表わす単語の系譜』 La généalogie des mots qui désignent l'abeille (18) ,『言葉の病理学と治療学』 Pathologie et thérapeutique verbales (21) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジリエロン」の意味・わかりやすい解説

ジリエロン
じりえろん
Jules Gilliéron
(1854―1926)

スイス生まれのフランスの言語学者。ドイツのウェンケルG. Wenker(1852―1911)と並んで、言語地理学の創始者とされる。民間の方言研究家を調査員として、フランス国内639地点で実地調査を行い、その資料を単語ごとに約2000枚の地図にし、『フランス言語図巻(ALF)』Atlas Linguistique de la France(1902~1912)として出版した。その結果わかった方言の地理的分布を基に多くの論文を書き、場所による言語の違いがどんな原因で生まれたかを説明しようとした。当時の言語学者が考えたような、例外のない規則的な発音の変化だけでなく、もっといろいろな原因でことばが変わると主張した。この影響で、欧米各国で方言の地理的分布を調べることが盛んになった。

[井上史雄 2018年6月19日]

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