ブッシュフェルト貫入岩体(読み)ブッシュフェルトかんにゅうがんたい(その他表記)Bushveld intrusion

改訂新版 世界大百科事典 の解説

ブッシュフェルト貫入岩体 (ブッシュフェルトかんにゅうがんたい)
Bushveld intrusion

南アフリカ共和国のトランスバール州にある層状貫入岩体。分布面積6万7000km2(東西460km,南北245km),厚さ7000m以上に達する膨大なものである。昔は単一の層状貫入岩体と考えられていたが,現在では五つの層状貫入岩体の集合したものと考えられている。貫入の時代は20.5億年前。ブッシュフェルト層状貫入岩体は,先カンブリア時代のトランスバール系(22億年前)中にほぼ整合的に貫入しており,トランスバール系に顕著な接触変成を与えている。この層状貫入岩体全体を通じて,結晶分化作用による顕著な火成層理がみられ,カンラン岩,クロム鉄鉱層を含む輝石,ハイパーシンに富む縞状斑レイ岩,斜長岩などの火成集積岩がひろく分布する。岩体の下部ほど超塩基性岩石はMgに富みFeに乏しく,上部にいくほど塩基性,中性酸性となり,Mgに乏しくFeに富んでくる。何枚ものクロム鉄鉱の濃集した層があるほか,メレンスキー層Merensky reefとよばれる白金族金属の濃集した層,含バナジン磁鉄鉱の濃集した部分等があり,大規模な鉱床となっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のブッシュフェルト貫入岩体の言及

【クロム鉄鉱】より

…クロム鉱床は大規模な層状塩基性貫入岩体中に層状をなすものと,造山帯中のカンラン岩体あるいは蛇紋岩化したカンラン岩体に伴うものがある。南アのブッシュフェルト貫入岩体,ローデシアのグレートダイクなどは前者の例であり,ロシアのウラル山脈,フィリピン,トルコ,日本のクロム鉱床などは後者の例である。日本のクロム鉱床としては北海道八田鉱山,日東鉱山,鳥取県広瀬鉱山,若松鉱山などが有名。…

【斜長岩】より

…アポロ計画による月探査の結果,月の高地を構成する岩石は斜長岩であることがわかり,地球や月の初期の地殻形成に重要な役割をもっていたと考えられている。地球上には,(1)南アフリカのブッシュフェルト貫入岩体のような層状分化岩体の一メンバーとして産するもの,(2)大きな底盤状塊状岩体として産するもの(たとえば北アメリカのアディロンダック岩体),(3)先カンブリア時代初期の高度変成岩中に層状に産するもの(グリーンランドのフィスケネセト岩体など)の三つのタイプがある。(3)のものは,形成年代,化学組成などの点で月の斜長岩と類似している。…

※「ブッシュフェルト貫入岩体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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