結晶分化作用(読み)けっしょうぶんかさよう(英語表記)crystallization differentiation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「結晶分化作用」の解説

結晶分化作用
けっしょうぶんかさよう
crystallization differentiation

マグマの冷却・固結が進むにつれて,元とは異なる化学組成のマグマや岩石(→火成岩)が生じる作用。カナダ出身の実験岩石学者ノーマン・L.ボーエンが唱えた反応系列 reaction seriesに基づき,一般的なマグマの出順序が示された。上部マントル地殻下部から上昇しマグマだまりにたまったマグマは,さまざまな造岩鉱物が溶融した複雑な液体である。マグマは徐々に冷却していく過程で固化しやすい鉱物から結晶化してマグマだまりの底に沈み,それに伴って残留マグマ(残液)の成分も変化する。最初にできたマグマの多くはマグネシウムの含有率が高い玄武岩質マグマで,これが冷えていく過程でまず,マグネシウムや鉄を多く含み密度の大きい橄欖石輝石,さらにカルシウムに富む斜長石灰長石)が晶出・固結して斑糲岩となり,マグマの残液は玄武岩質から二酸化ケイ素を多く含む安山岩質に変わる。さらに冷却化が進むと,輝石,斜長石のほかに角閃石も結晶化し冷え固まって閃緑岩となり,マグマの残液は安山岩質から二酸化ケイ素をより多く含んだ流紋岩質へと変化する。流紋岩質のマグマが冷えると,黒雲母ナトリウムに富んだ斜長石(曹長石),さらに冷えてカリ長石(正長石),白雲母石英が結晶化し,冷えて花崗岩となる。(→深成岩

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化学辞典 第2版「結晶分化作用」の解説

結晶分化作用
ケッショウブンカサヨウ
crystallization differentiation

マグマの冷却過程では必ず結晶作用が起こる.最初に晶出する結晶は結晶作用が起こるときの条件によって異なるが,一般に,マグマの成分とは違った結晶が晶出する.したがって,マグマから結晶成分が取り去られることになる.このような過程で起こる分化作用を結晶分化作用という.すなわち,結晶がマグマ中に均一に浮遊していれば,できた岩石の組成はマグマと同一となる.しかし,一般には結晶はマグマより比重が大きく,長い時間にはマグマの下部に沈降する.したがって,マグマの下部では沈降した結晶に富む岩石が生じ,上部ではその逆となる.

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百科事典マイペディア「結晶分化作用」の解説

結晶分化作用【けっしょうぶんかさよう】

結晶作用の進展にともなってマグマの化学組成が変化する現象。それとともに結晶する鉱物の種類も変化し,つくられる岩石が変化する。主にこの作用によって少数本源マグマから多様な火成岩が形成されると考えられる。このような考えはボーエンが1928年に反応原理に基づくマグマの分化作用を解明してから発展した。

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精選版 日本国語大辞典「結晶分化作用」の解説

けっしょうぶんか‐さよう ケッシャウブンクヮ‥【結晶分化作用】

〘名〙 地殻中に貫入したマグマの結晶作用がはじまるとき、結晶する部分が残りの部分と分離して固結すること。重力の作用で結晶部分がマグマだまりの下部に沈下したり、溶融部分が強い側圧によって結晶の間からしぼり出されたりして起こり、複雑な成分をもつ火成岩ができる原因とされる。

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法則の辞典「結晶分化作用」の解説

結晶分化作用【crystallization differentiation】

マグマ冷却時の結晶析出において,晶出した結晶と残液との反応の程度に応じて起こるマグマの分化をいう.

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岩石学辞典「結晶分化作用」の解説

結晶分化作用

マグマの分化作用で,初期に形成された結晶が,残りのマグマから分離するもの.

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世界大百科事典 第2版「結晶分化作用」の解説

けっしょうぶんかさよう【結晶分化作用 crystallization differentiation】

晶出分化作用ともいう。化学組成の均一なマグマから化学組成の異なる種々の火成岩が生ずることをマグマの分化と呼ぶ。特に,結晶作用によって,もとのマグマとは異なる化学組成の岩石が生ずることを結晶分化作用という。マグマの分化は温度の降下に伴う結晶作用によって生ずるという考えは,20世紀初頭からイギリスのハーカーA.Harkerなどによって唱えられていたが,特に,ケイ酸塩溶融体の実験的研究にもとづいてアメリカのボーエンN.L.Bowenが強く主張した1920年ころから,火成岩成因論の主流となり現在に至っている。

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