日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラフマーグプタ」の意味・わかりやすい解説
ブラフマーグプタ
ぶらふまーぐぷた
Brahmagupta
(598―660)
インドの数学者、天文学者。インド中部ウージャインに生まれる。628年に天文書『ブラフマー・スプタ・シッダーンタ』BrahmāSphuta-Siddhānta(ブラフマーの新体系)を著した。このなかで彼は、0を含む演算について、今日の記号で書くと、
a±0=a,a×0=0,0÷a=0
という法則について触れ、算術では、0で割ることはできないと禁じていた。しかし代数では正負の数を0で割ったものをtacchedaとよんでいる。
また彼は一次不定方程式の一般解を得ていたし、二次不定方程式のx2-Dy2=1も扱っていた。負の数を導入して、一元二次方程式を一般形で、ax2+bx+c=0と表し、根の一つ
を導いた最初の人である。ただし、式はことばで表され、文字はすべて具体的な数になっている。円に内接する四辺形の四辺の長さをa、b、c、d、その和を2sとするとき、この面積Sが
で与えられることも示した。また「円に内接する四辺形の対角線がOで直交するとき、Oを通り一つの辺に垂直な直線は、その対辺の中点を通る」というブラフマーグプタの定理はよく知られている。
[武藤 徹]