定理(読み)テイリ

デジタル大辞泉 「定理」の意味・読み・例文・類語

てい‐り【定理】

ある理論体系において、その公理や定義をもとにして証明された命題で、それ以降の推論の前提となるもの。「ピタゴラス定理
[類語]論理ことわり道理事理条理純理理法ロジック理論セオリー原理プリンシプル公理

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「定理」の意味・読み・例文・類語

てい‐り【定理】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 自明の理。定まった道理。じょうり。
    1. [初出の実例]「父母に孝をするは定理なり、不孝なるは気の変なり」(出典:学談雑録(1716頃))
    2. [その他の文献]〔韓非子‐解老〕
  3. ( [英語] theorem の訳語 ) 定義や公理に基づいて証明された数学上の命題。主として、重要なものに対して用いる。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

じょう‐りヂャウ‥【定理】

  1. 〘 名詞 〙 定まった理屈。決まりきっていて動くことのない理屈。物事の道理。
    1. [初出の実例]「たとへば水の火を消(けす)は定理(ジャウリ)なりといへども」(出典仮名草子・身の鏡(1659)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「定理」の読み・字形・画数・意味

【定理】ていり

定まった道理。〔韓非子、解老〕そ理なるは、方圓・短長靡(そび)・堅(けんぜい)のなり。故に理定まりて、而る後、物、を得べきなり。故に定理に存り、死生り、り。~常なるは易(かは)る攸(ところ)無く、定理無きなり。

字通「定」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「定理」の意味・わかりやすい解説

定理 (ていり)
theorem

数学において,正しいことが証明できた事柄を定理という。理論構成において,多くの定理を得るわけであるが,その理論における位置づけによって,補助定理,系などの名称も用いる。すなわち,その理論構成において重要と考えるものをとくに定理と命名し,ある定理を導く段階で,証明などのため必要な定理を補助定理,または補題と呼ぶ。また,ある定理から容易に導ける他の定理を,もとの定理の系という。例えば,次の二つの命題はユークリッド幾何学における定理であるが,第1のものから第2のものは容易に導けるので,第2のものは第1のものの系であるといえる。

 〈△ABCにおいて,AB,ACの中点をD,Eとすれば,DEBCかつ2DE=BC〉〈四辺形ABCDにおいて辺AB,BC,CD,DAの中点をP,Q,R,Sとすれば,四辺形PQRSは平行四辺形である〉。

 他方,理論構成上とくに重要な定理には特別の名称が与えられていることがある。三平方の定理(ピタゴラスの定理ともいう),正弦定理余弦定理などはその例である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「定理」の意味・わかりやすい解説

定理【ていり】

数学で真である命題,つまり公理系から演繹的推論により導かれる(証明される)命題。ふつうはそのうち,他のいろいろな命題を証明するのによく使われる重要なものをいう。例としては,オイラーの定理三平方の定理剰余定理代数学の基本定理等。
→関連項目公式

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「定理」の意味・わかりやすい解説

定理
ていり
theorem

証明されている命題をいう。すなわち、ある数学的理論において、その理論の公理から正しい推論を重ねることによって得られる命題が定理である。定理は、すでに知られている諸定理から、さらに推論を重ねて導かれるのが普通である。定義からすれば、証明された命題はすべて定理であるが、実際には、その理論のなかで主張したい事柄のみが、定理として提出される。証明された命題のなかで、理論の展開として主張したいものではないが、定理の証明にたびたび用いるとか、定理の証明の筋道として明確にしておきたい命題を、その定理の補題という。また、定理の一般的条件を特殊な場合に制限した命題にすると、主張したい事柄がわかりやすくなることがある。このような命題を、その定理の系という。

[廣瀬 健]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定理」の意味・わかりやすい解説

定理
ていり
theorem

数学用語。語源的には実践的な行為の規準に対して思弁的,理論的命題をさした。さらにそれは証明可能な言表を意味し,定義公理あるいは問題に対立する。一般には演繹の中間過程において引出され,以下の推論の前提となる命題をいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の定理の言及

【公理系】より

…まず,一定の学問体系において基本的前提と考えられる命題の一定の組を選び出して,それらを公理axiomとよぶ。公理から一定の推理(推論)方法によって得られる結論を定理theoremとよぶ。このような形で学問を体系化することを公理化axiomatizationという。…

【形式言語】より

…この語には,もはやどの規則も適用できない。一般に形式システムでは,推論規則によって公理から定理が導出されるという。導出される定理のうち,どの規則も適用できないものを終端定理と呼ぶ。…

【公理系】より

…まず,一定の学問体系において基本的前提と考えられる命題の一定の組を選び出して,それらを公理axiomとよぶ。公理から一定の推理(推論)方法によって得られる結論を定理theoremとよぶ。このような形で学問を体系化することを公理化axiomatizationという。…

※「定理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android