定理
ていり
theorem
証明されている命題をいう。すなわち、ある数学的理論において、その理論の公理から正しい推論を重ねることによって得られる命題が定理である。定理は、すでに知られている諸定理から、さらに推論を重ねて導かれるのが普通である。定義からすれば、証明された命題はすべて定理であるが、実際には、その理論のなかで主張したい事柄のみが、定理として提出される。証明された命題のなかで、理論の展開として主張したいものではないが、定理の証明にたびたび用いるとか、定理の証明の筋道として明確にしておきたい命題を、その定理の補題という。また、定理の一般的条件を特殊な場合に制限した命題にすると、主張したい事柄がわかりやすくなることがある。このような命題を、その定理の系という。
[廣瀬 健]
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てい‐り【定理】
〘名〙
※学談雑録(1716頃)「父母に孝をするは定理なり、不孝なるは気の変なり」 〔韓非子‐解老〕
② (theorem の訳語) 定義や公理に基づいて証明された数学上の命題。主として、重要なものに対して用いる。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
じょう‐り ヂャウ‥【定理】
〘名〙 定まった理屈。決まりきっていて動くことのない理屈。物事の道理。
※仮名草子・身の鏡(1659)上「たとへば水の火を消(けす)は定理(ジャウリ)なりといへども」
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定理
ていり
theorem
数学用語。語源的には実践的な行為の規準に対して思弁的,理論的命題をさした。さらにそれは証明可能な言表を意味し,定義や公理あるいは問題に対立する。一般には演繹の中間過程において引出され,以下の推論の前提となる命題をいう。
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デジタル大辞泉
「定理」の意味・読み・例文・類語
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ていり【定理 theorem】
数学において,正しいことが証明できた事柄を定理という。理論構成において,多くの定理を得るわけであるが,その理論における位置づけによって,補助定理,系などの名称も用いる。すなわち,その理論構成において重要と考えるものをとくに定理と命名し,ある定理を導く段階で,証明などのため必要な定理を補助定理,または補題と呼ぶ。また,ある定理から容易に導ける他の定理を,もとの定理の系という。例えば,次の二つの命題はユークリッド幾何学における定理であるが,第1のものから第2のものは容易に導けるので,第2のものは第1のものの系であるといえる。
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普及版 字通
「定理」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の定理の言及
【公理系】より
…まず,一定の学問体系において基本的前提と考えられる命題の一定の組を選び出して,それらを公理axiomとよぶ。公理から一定の推理(推論)方法によって得られる結論を定理theoremとよぶ。このような形で学問を体系化することを公理化axiomatizationという。…
【形式言語】より
…この語には,もはやどの規則も適用できない。一般に形式システムでは,推論規則によって公理から定理が導出されるという。導出される定理のうち,どの規則も適用できないものを終端定理と呼ぶ。…
【公理系】より
…まず,一定の学問体系において基本的前提と考えられる命題の一定の組を選び出して,それらを公理axiomとよぶ。公理から一定の推理(推論)方法によって得られる結論を定理theoremとよぶ。このような形で学問を体系化することを公理化axiomatizationという。…
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