ブロック・ブッキング(英語表記)block booking

翻訳|block booking

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブロック・ブッキング」の意味・わかりやすい解説

ブロック・ブッキング
block booking

配給側と興行側で結ばれる映画作品の賃貸協定のうち,劇場側に複数作品の一括予約を強いるものをいう。これによって劇場側は,その地域で特定系統の作品を独占公開でき,また常時,上映番組を確保しておける。しかしその代償に,作品の選択権は放棄しなければならない。つまり,配給作品は良否に関係なく上映していくことを義務づけられる。製作・配給側にとっての最大の利点は,独自の系列館を形成できることで,協約は作品販路を安定化させ,固定観客を獲得するのに大いに役立つ。だが配給側も,番組編成に必要な本数は必ず供給しなければならず,有利な面だけ享受できるわけではない。この場合,番組の補充に追われ,作品の質的低下を招くこともあり,映画史から見ればむしろこれが最も重要な問題であろう。今日の日本では,映画産業自体の退潮や独立プロ作品の急増などで,ブロック・ブッキング制度は大きく後退し,作品本位で上映契約を結ぶフリー・ブッキングが多くなってきている。

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世界大百科事典(旧版)内のブロック・ブッキングの言及

【アメリカ映画】より

… 第1次世界大戦が始まった1914年には,世界中で上映される映画の90%はフランス映画であったが,戦争と同時に全ヨーロッパの映画製作はほとんど中止され,この機会にアメリカ映画はアメリカ資本主義の成長とともに発展した。さらにグリフィスの二つの長編《国民の創生》(1915)と《イントレランス》(1916)の興行的成功は,特作品,あるいは超特作品製作のきっかけを作り,やがて全上映作品を同一会社の作品でまかなう専門館システム〈ブロックブッキング〉制度を助長して,結果的に映画資本のトラスト化を促進した。そして自然発生的なスターに代わる人為的な〈スターシステム〉が強化されることになる。…

【映画】より

…興行者の水揚げ(興行収入)から上記の歩合,単売契約によって得た収入を〈配給収入〉(略して〈配収〉)という。配給形態としては,日本の映画企業は製作,配給,興行の3部門を総合的に経営しており,原則として他社作品を使用せず,全作品(全プロすなわち全番組)を同一会社の作品でまかなう専門館システム,すなわち〈ブロックブッキング(系統全プロ)〉方式がとられている。一方,洋画(外国映画)や独立プロ作品のうち興行価値の安定した作品は,大都市では系統(東宝洋画系,松竹東急系等々)が分かれているものの,地方都市では1本1本の作品によって売買契約をする〈フリーブッキング(単売制)〉方式が多い。…

※「ブロック・ブッキング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」