日本大百科全書(ニッポニカ) 「プブリカーニ」の意味・わかりやすい解説
プブリカーニ
ぷぶりかーに
publicani ラテン語
古代ローマの国家事業請負人。土木、建築などの公共事業や軍需品の供給から各種の税の徴集に至る仕事を国家にかわって行う階層、およびその組合。国家的な統一的財政機構をもたなかったローマは、国家事業を、ケンソル(戸口総監)と、おもに騎士身分層からなるプブリカーニとの間の請負契約によって行わせた。その組合は、騎士身分からなる請負人と使用人(奴隷、解放奴隷も含まれる)、出資者(騎士身分以外の層に広がる)とからなり、請負の担保に供されるのは土地財産であった。共和政末期のローマの支配権の拡大とともに、その活躍の舞台も広がり、とくに属州からの税の徴集にあたるプブリカーニは、金融資本家、商業資本家的な活動も行い、元老院身分層との対抗、連合を通して、その力はローマの政治、経済を左右した。しかし、帝政期にはその活動も衰え、その機能はコンドクトレスconductores(総小作人)の手に移ってゆく。
[長谷川博隆]