改訂新版 世界大百科事典 「プロトミケス」の意味・わかりやすい解説
プロトミケス
Protomyces
子囊菌類の半子囊菌綱,プロトミケス目に含まれる1属。約10種が知られている。タフリナ目と近縁である。種子植物,とくにキク科植物に寄生する種が多い。植物の茎および葉に腫張(しゆちよう)を形成し,奇形を生じ,著しく変色を伴うこともある。寄生植物の組織中の菌糸のところどころに厚膜胞子(休眠胞子)を多数形成する。この胞子は表皮下に層をなしており,発芽すると厚い外壁が破れて内膜が円筒状に突き出て露出し,集合子囊(胞子囊)となり,内部に多数の胞子を生じる。日本ではオニタビラコに腫張をつくるP.inouyei P.Henn.,タンポポに同じく腫張をつくるP.pachydermus Thuemen,ジシバリにつくP.lactucae-debilis Sawadaが早春期に見いだされる。培養するとどの種も淡紅色の酵母状コロニーを形成することが特徴である。
執筆者:椿 啓介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報