改訂新版 世界大百科事典 「プロブレマチカ」の意味・わかりやすい解説
プロブレマチカ
problematica
生痕化石を含めて,分類上の位置の明らかでない所属不明の化石の総称。問題化石ともいう。その中には生物起源のものかどうか疑わしいものも含まれる。たとえば遠藤隆次が1933年に中国東北(旧満州)の先カンブリア界から新属の藻類として報告したManchuriophycusをヘンチェルW.Häntzschelは乾痕が異様に変形したものとしている(1949)。またPaleodictyonと呼ばれる普通六角形でまれに五~八角形をなす蜂の巣状の網状印痕は,ヨーロッパ,北アメリカおよびアジアのオルドビス系~第三系から産し,日本では西南日本や北海道のフリッシュ相の白亜系や第三系から比較的多く発見されている。これらをA.ザイラッハーは採食痕と考えているが,一方藻類と考え,また非生物質であると考えている人も少なくない。また,ヘンチェル(1975)によって正体不明の微小化石はマイクロプロブレマチカmicroproblematicaと呼ばれている。
執筆者:甲藤 次郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報