プロレゴメナ(その他表記)prolegomena

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロレゴメナ」の意味・わかりやすい解説

プロレゴメナ
prolegomena

ギリシア語の prolegomenonの複数形で,「前言」「序文」「序説」などの意。哲学書などの表題として用いられる。著名なのは I.カントの"Prolegomena zu einer jeden Metaphysik,die als Wissenschaft wird auftreten können" (『学として現われうべきあらゆる未来形而上学への序論』) 。この書は 1783年に刊行され,『純粋理性批判』 (1781) に対する誤解,特に学的形而上学までも否定されているのではないかとの誤解に対して,否定されるべきは非学的形而上学であって,学的形而上学ではないことが説かれている。

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世界大百科事典(旧版)内のプロレゴメナの言及

【基礎神学】より

…カトリック神学の一分野。啓示の真理を取り扱う信仰の学問である教義学体系に対して基礎を与えようとする分野であり,プロテスタント神学では教義学序論(ドイツ語でプロレゴメナ)の用語が用いられるが,実際は,後者は教義学の内容の総論的性格が強く,基礎神学の場合のように,学問の理論的な基礎づけを行うものとは趣を異にする。かつては護教論apologeticaと名づけられたこともあったが,この場合は,その理論づけがキリスト教に反対する人生観,世界観に対して,信仰の学問である神学が理論的に可能であるというばかりでなく,キリスト教の特質を明らかにし,その真理性を弁明する面が強調されたことによる。…

【カント】より

…さらに,88年の《実践理性批判》,90年の《判断力批判》と三つの批判書が出そろい,いわゆる〈批判哲学〉の体系が完結を見る。ほかに主要著作として,《プロレゴメナ》(1783),《人倫の形而上学の基礎》(1785),《自然科学の形而上学的原理》(1786),《たんなる理性の限界内における宗教》(1793),《人倫の形而上学》(1797)などがある。
[カント哲学の基本的性格]
 〈世界市民的な意味における哲学の領域は,次のような問いに総括することができる。…

※「プロレゴメナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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