ヘリコン波(読み)ヘリコンは(英語表記)helicon wave

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘリコン波」の意味・わかりやすい解説

ヘリコン波
ヘリコンは
helicon wave

磁場を加えた固体プラズマの中を伝わる電磁波の1種。 1960年 P.アイグラインにより存在が理論的に予言された。磁場のないプラズマでは,プラズマ振動数よりも低い振動数の電磁波は減衰して,プラズマ中を伝わることができない。しかし,磁場が存在するとプラズマ振動数よりも低い振動数の電磁波も伝わることができる。磁場に平行に進行して,波の振動電場成分が螺旋運動をする。真空中の光や空気中の音は振動数によらず一定の速さで伝わるが,ヘリコン波は振動数が高いほど速く伝わる性質がある。電離層中を地磁気に沿って伝搬する電磁波をホイスラー波と呼んでいるが,これに相当した波を固体プラズマではヘリコン波という。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヘリコン波の言及

【固体プラズマ】より

…このため固体プラズマ中の電磁波の伝播速度は,時として結晶中の弾性波の速度(数km/s)と同程度まで小さくなる。このような電磁波をヘリコン波と呼ぶ。一方,気体プラズマのように自由な荷電粒子が正負同数ある場合,また固体プラズマでも自由な電子と正孔が同数あるときには,正負の粒子の間での一種の打消し合いが起こり,屈折率は低振動数で大きくはあるが一定値に近づく。…

※「ヘリコン波」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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