日本大百科全書(ニッポニカ) 「べったら漬け」の意味・わかりやすい解説
べったら漬け
べったらづけ
ダイコンを米麹(こめこうじ)、砂糖で漬けたもの。東京では浅漬けともいう。ほのかな甘味と、こりこりした歯ざわりを賞味する。江戸時代の初め、旧暦10月19日に、江戸・日本橋大伝馬町の恵比寿講(えびすこう)の祭礼の宵宮(よいみや)に、織物商人が集まって市(いち)を立てていたが、この市に、周辺の農家でとれるダイコンを麹と飴(あめ)で加工して売り出したのが始まりといわれている。麹でべたべたしているところからべったらとよばれ、それが市の名になったものらしい。現在も同地で開かれるべったら市は有名である。原料のダイコンは皮の筋目が残らないよう厚く皮をむき、塩で下漬けしたあと麹で本漬けにする。麹はぬるま湯で溶いて保温し、固めの甘酒にして用いると甘味が強くなる。下漬けしたダイコンは麹、砂糖をふりかけながら漬け込み、重石(おもし)をする。5日目くらいから食べられ、15日くらいが食べごろ。
[河野友美]