改訂新版 世界大百科事典 「ペリディニウム」の意味・わかりやすい解説
ペリディニウム
Peridinium
2個の半球状ないしは円錐状の殻部が上下に合わさってできた単細胞性の渦鞭毛藻の1属で,14枚の鎧(よろい)板で上殻を,7枚の鎧板で下殻をつくる特徴がある。上殻と下殻の先は角状にとがるものが多い。体には背腹性があり,腹面の中央部から2本の鞭毛が出るが,そのうちの1本は体の中央部の横溝を巻くようにのび,他の1本は縦溝に沿って後方にのびる。これら2本の鞭毛により体を回転させながら泳ぐ。生殖は2分裂の無性生殖のほかに雌雄の配偶子形成による有性生殖を行う。種類数が多く,日本では約100種が知られる。ほとんどは海産種であり,淡水に生育が知られるものは16種である。ともに大繁殖して赤潮をつくることがある。浮遊生活を行い,有機物生産者として水界の生態系において重要な位置を占める。ヤマガタウズオビムシP.conicumやゴカイウズオビムシP.pentagoniumなどは日本沿岸でごく普通にみられる。最近,横溝や縦溝の鎧板の違いから,淡水のものをPeridinium,海産のものをProtoperidiniumと区別する学者もいる。動物学では原生動物門有色鞭毛虫綱に分類される。
→ウズオビムシ
執筆者:千原 光雄+今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報