無性生殖(読み)むせいせいしょく(英語表記)asexual reproduction

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

配偶子の接合によらない生殖の総称。このうち遊走子 (例:アオサ,シオミドロ,ミズカビ) ,胞子 (例:ケカビ) ,分生子 (例:アオカビ,コウジカビ) などいわゆる胞子を形成するものと,体の一部が切れて独立した個体になるいわゆる栄養生殖とがある。前者の例では,細菌類の二分裂による繁殖や,酵母菌類による増殖も無生殖である。後者には高等植物の珠芽 (例:ヤマノイモ,オニユリ) ,コケ類の杯状体 (例:ゼニゴケ) のような無性芽を生じるもの,挿木,取木の生殖,地下茎の生殖 (例:サトイモ) をはじめとして糸状菌類にみられる厚膜胞子 (例:ケカビ,ミズカビ) や地衣類裂芽 (例:カブトゴケ) などがある。またクラゲ類の出芽,カイメン類の芽球なども無性生殖である。なお菌類におけるマツタケなどの担子胞子とチャワンタケなどの子嚢胞子は配偶子はみられないが,体細胞接合のうえ,有性的な核融合の完結に伴って生じるものであるから,単純に無性生殖と考えることは無理である。

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大辞林 第三版の解説

配偶子によらない生殖様式。分裂・出芽・胞子形成による生殖など。単細胞生物に普通にみられるが、高等植物の栄養生殖もこの一種。 ⇔ 有性生殖

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 有性生殖によらない生殖によって新個体を生む生殖。体の一部の分裂、出芽、地下茎やむかごなどの器官または器官の一部が分離して新個体となるものをはじめ、単独で発育し得る無性胞子や卵細胞などを生じて新しい個体を作るものもある。

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世界大百科事典内の無性生殖の言及

【栄養生殖】より

…栄養繁殖ともいう。無性生殖の一種で栄養体(生物体の生殖器官以外の部分)の一部が母体から離れて独立し,新個体を形成すること,またはその過程。新個体は遺伝的に母体と同一の性質をもつ。…

【生殖】より

…繁殖という語は家畜学などの分野で,また増殖という語は水産学の分野で,ほぼ同じ意味に使われている。
[植物の生殖]
 植物の生殖は,体の一部または無性の生殖細胞である胞子から新しい個体ができる無性生殖と,性的に異なる2種の配偶子が合体する有性生殖の二つに大別される。 栄養体(葉状体,根,茎など)の一部から新しい個体の生まれる栄養生殖は無性生殖の一つであり,例えばオニユリやヤマノイモなどの側芽は多肉化して〈むかご〉になる。…

※「無性生殖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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