化学辞典 第2版 「ホモ共役反応」の解説
ホモ共役反応
ホモキョウヤクハンノウ
homoconjugation reaction
酸HAの解離反応で生じた A- イオンの一部が,非解離の酸HAと反応してHA2-を生じる酸塩基反応の一種.たとえば,酢酸CH3COOHはアセトニトリル中では酸として作用し,共役塩基CH3COO-を生じるが,CH3COO-に対するアセトニトリルの溶媒和は弱く,CH3COO-は非解離のCH3COOHと反応してH(CH3COO)2-を生じる.BH+形の酸では,解離反応で生じたBが非解離の酸BH+と反応してB2H+を生じる.たとえば,エチルアミンC2H5NH2はアセトニトリル中では塩基として作用し,共役酸(C2H5NH2)H+を生じるが,(C2H5NH2)H+に対するアセトニトリルの溶媒和は弱く,(C2H5NH2)H+はC2H5NH2と反応して(C2H5NH2)2H+を生じる.ホモ共役反応に対して,A- イオンがHA以外の酸HRと反応してAHR-を生じる反応をヘテロ共役反応という.たとえば,安息香酸 C6H5COOHはアセトニトリル中では酸として作用し,共役塩基C6H5COO-を生じるが,アセトニトリルよりも強い酸である水が存在すると,C6H5COO-はH2Oと反応してC6H5COO(H2O)-を生じる.いずれも非プロトン性溶媒中で起こりやすい.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報