改訂新版 世界大百科事典 「ホローファイバー」の意味・わかりやすい解説
ホローファイバー
hollow fiber
繊維内部が中空になっている化学繊維。中空繊維,中空糸ともいう。繊維内部に気泡を閉じ込めたもの,マカロニ状やれんこん状に連続した中空部をもつもの,および長い中空部がところどころ切れた竹のようなものがある。繊維は軽いほど重量当り大きな被覆面積をもつわけだが,化学繊維のうち,ビスコースレーヨンは比重1.53とアセテート繊維の1.30より重い。大きな表面積を有する平たい形の繊維は粗い感じがするので嫌われることから,ビスコースレーヨンに気泡を閉じ込めて見掛け比重を軽くした気泡入り繊維が1922年フランスで初めて作られた。しかし,この種のホローファイバーは現在製造されていない。ポリエステルホローファイバーは連続した中空部をもつ,見掛け比重の軽い,保温性の高い繊維で,現在製造されているのは円形中空糸のほかに三角中空糸などがある。ホローファイバーはろ過機能をもつものが作られている。たとえば,人工腎臓の透析用中空糸はセルロースアセテートなどから作られており,糸の中空部に血液を,外側に透析液を流す構造をとることにより透析器の効率化・小型化が図られている。
執筆者:瓜生 敏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報