ポチテカ(その他表記)pochteca

改訂新版 世界大百科事典 「ポチテカ」の意味・わかりやすい解説

ポチテカ
pochteca

メキシコ中央高原において15世紀後半以降,アステカ勢力が拡大するとともに台頭した特権的な遠隔地交易商人の集団。彼らの活動は,地方市場における自己生産品の交換と異なり,支配階層の消費する奢侈(しやし)品やその原材料である羽毛類,宝石貴金属材を取得するために,タバスコからユカタン半島方面,チアパスからグアテマラ方面まで隊商を組織して交易することであった。ポチテカは交易品としては,黒曜石製ナイフ,針など日用品のほか,アステカ領主から下賜されたり,トラテロルコの大市場で調達した木綿布,装身具のほか奴隷などを持参した。ポチテカは独自の神殿祭祀を挙行し,一定の自治権をもち,都市内の特定地区に集住し,内婚制をとる閉鎖的集団であった。16世紀初頭にはメキシコ盆地の12の都市にポチテカの居住区があったが,アステカ帝国の版図外での交易を認可されたのはテノチティトラン,トラテロルコなどメシカ系の都市のポチテカのみであった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のポチテカの言及

【運搬】より

…アンデスではラマが30kgほどの荷物を運べたので,そのキャラバンはもっとも重要な運搬システムになっていた。メソアメリカではそれすらなく,結局は人間のキャラバンに頼らざるをえず,アステカ王国ではポチテカという,遠距離交易を専業とする集団が王権の特別の保護のもとに活躍した。ラマの有無にかかわらず,新大陸文明の壮大な石造建築は人力によってのみ可能であった。…

※「ポチテカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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