マイクロマシン(読み)まいくろましん(英語表記)micro-machine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイクロマシン」の意味・わかりやすい解説

マイクロマシン
まいくろましん
micro-machine

半導体の微細加工技術を利用して、極微細なメカニカル機構を実現した機械。集積回路IC)をつくるのと同様の加工技術を用いて三次元機械部品をシリコン上でつくろうという試みは1970年代に始まったが、80年代の100マイクロメートルの静電モータが発表されたことから注目されるようになった。その後、材料も加工手段も種々開発され、占有容積は小さく複合・集積化や電子化が容易で、量産性もよいことから実用化が進められている。中心軸の周りを回る微少なギヤ、髪の毛の太さぐらいのスライダーがつくられ、さらに製品として3×5ミリメートルのシリコン基板上に0.6×0.3ミリメートルのミラー4個を静電力で回転させる光スイッチ、マイケルソン干渉計を利用した分解能0.01マイクロメートルの変位センサIC、混合液を流しながら化学分析できる24×10×2ミリメートルのシリコンチップ上に集積したフローセル、磁気ディスクのトラッキング用の2.6ミリメートル径の静電モーター、ダイアフラムの弾性変形を利用した5×5×5ミリメートルの3軸加速度センサなどが実現されている。

[岩田倫典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例