MEMS(読み)めむす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「MEMS」の意味・わかりやすい解説

MEMS
めむす

シリコンなどの電子基板上に、極小のばね振り子などの機械素子のほか、鏡などの光素子を搭載した複合部品。英語のMicro Electro Mechanical Systemsの略称。電子、機械、光技術などの特性を組み合わせた、いわばハイブリッド部品で、微小電子機械システムともよばれる。電子素子の機能を高度にできるうえ、小型化、低コスト化、省電力化できる特徴がある。自動車、医療機器、防災施設、ロボットなど多様な機器に採用され、携帯機器「iPhone(アイフォーン)」やゲーム機「Wii(ウィー)」「PS3(プレイステーション3)」にMEMSの加速度センサーが搭載されたこともあって、市場規模は年平均10%前後の成長を続けている。従来型電子部品でアジア諸国にシェアを奪われた日本の半導体メーカーは、巻き返しをはかる新技術として開発を競っている。

 1980年代に、基板上のばねのたわみなどで速度の変化を測る加速度センサーとして実用化され、自動車のエアバックなどに採用された。傾きを測るジャイロセンサー、流量センサー、圧力センサーなどの部品としても実用化されている。基板上に鏡を並べて高画質表示ができるDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)やインクジェットのプリンタヘッド部分の微小ノズルなどのMEMSも次々に商品化され、部品レベルではナノ(10億分の1)メートルの微細な三次元加工も可能となっている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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