マイケル・チャン(読み)まいける・ちゃん(その他表記)Michael Chang

知恵蔵 「マイケル・チャン」の解説

マイケル・チャン

中国系アメリカ人の元男子プロテニス選手。1972年2月22日、米ニュージャージー州出身。台湾から米国に移住した両親の間に生まれる。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。身長175センチメートルと男子テニス選手としては小柄ながら、俊敏さを生かしたベースラインプレーヤーとして活躍した。
グランドスラムデビューは、主催者推薦による87年の全米オープンで、15歳での出場は当時史上最年少。88年プロ入り。初優勝は、17歳3カ月で制した89年全仏オープンで、これは現在も破られていない4大大会の男子シングルス最年少優勝記録である。この勝利によって、史上最年少で世界ランク5位となる。自己最高ランキングは、シングルス世界2位(96年9月9日)、ダブルス世界199位(93年4月19日)。
通算成績は662勝312敗、ツアー優勝回数は34。全仏優勝を除く4大大会シングルスの主な成績は、全仏オープン(95年)、全豪オープン(96年)、全米オープン(96年)のそれぞれで準決勝。2003年の全米オープンを最後に、現役引退。引退後は、1999年に設立した「チャン・ファミリー財団」を通じ、キリスト教に基づく慈善事業を行っている。2008年7月12日に国際テニス殿堂入りを果たした。ピート・サンプラス、アンドレ・アガシ、ジム・クーリエと共に、「アメリカ人テニスプレーヤーの最も偉大な世代」、「ファブ・フォー(fabulous four:すばらしき4人)」と称される。
日本での試合出場の機会も多く、日本人選手としては松岡修三と最も多く対戦したと言われる。伊達公子や杉山愛とミックスダブルスで共にプレーしたこともある。11年11月、エキシビジョンマッチとして有明コロシアム錦織圭と対戦。この時、チャンは錦織に「トップ選手と戦う上で、相手を尊敬しすぎて、気後れするな」と心構えに関する助言をしたという。
錦織からの依頼で、13年12月からコーチを務めている。トッププロを指導した実績はないが、錦織はチャンに依頼した理由として、「目標である世界ランキングのトップ10入りを果たし、その位置を保つには、その厳しさを経験で知る人の助言を受けたい気持ちが芽生えてきた。僕よりも背が低いし、プレースタイルも似た面がある」と語っており、チャンはコーチ就任時に「圭のテニス人生のゴールが世界17位とか、トップ50にいることなら、僕は必要ない。でも、圭のゴールはもっと上にある。それを後押ししたい」と語っている。コーチを引き受ける上での条件として、「家族と常に一緒にいること」を挙げており、遠征先にも家族と共に移動する。
14年9月の全米オープンでは、錦織の決勝の対戦相手チリッチのコーチが、チャンの現役時代のライバル、イワニセビッチであり、指導者としての2人の対決にも注目が集まった。
好きな食べ物は中華料理。愛読書は聖書。テニス以外には、ゴルフや釣りを楽しむ。

(葛西奈津子 フリーランスライター/2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

現代外国人名録2016 「マイケル・チャン」の解説

マイケル チャン
Michael Chang

職業・肩書
テニス指導者

国籍
米国

生年月日
1972年2月22日

出生地
ニュージャージー州ホボケン

経歴
1966年米国に移住した台湾系中国人を両親に持つ中国系2世。スペインの名手だったヒゲラス・コーチにテニスの指導を受ける。’87年15歳の時に全米選手権の18歳以下で初優勝し、全米オープンに出場、1勝を挙げる。’88年プロに転向し、トランスアメリカ・オープンでプロツアー初優勝、全米オープンではベスト16に進出。’89年2月デ杯ワールドグループ1回戦の対パラグアイ戦で米国代表としてシングルスに出場、2勝を挙げて米国の準々決勝進出に貢献。同年6月の全仏オープンでは前年の全英オープン(ウィンブルドン)覇者ステファン・エドベリ(スウェーデン)をフルセットの末破って優勝、史上最年少(17歳3ケ月)のチャンピオンとなった。’94年AT&Tチャレンジで優勝。’95年セイコー・スーパーテニスで優勝。’98年膝を故障してからは低迷し、2003年8月全米オープンを最後に現役を引退。ツアー通算34勝。世界ランキング最高2位。175センチ、73キロと男子選手としては小柄ながら俊敏さを生かしたベースラインプレーヤーとして活躍。コマネズミのように動き回り、ボールを丹念に拾いまくるテニスから“東洋のマシン”といわれた。ツアー優勝34回。4大大会は全豪オープン準優勝(1996年)、全仏オープン優勝(’89年)、ウィンブルドンベスト8(’94年)、全米オープン準優勝(’96年)。世界ランキングの自己最高位は2位(’96年)。2008年国際テニス殿堂入り。2013年12月錦織圭に請われてコーチに就任。トッププロを指導した実績はないが、身長が低くプレースタイルが似ている錦織を技術面、肉体面で強化し、2014年全米オープン準優勝、2015年世界ランキング4位に導いた。4大大会の男子シングルス最年少優勝記録は現在も破られていない。

出典 日外アソシエーツ「現代外国人名録2016」現代外国人名録2016について 情報

知恵蔵mini 「マイケル・チャン」の解説

マイケル・チャン

元プロテニスプレーヤー。1972年2月22日、米国ニュージャージー州生まれの台湾系アメリカ人。88年にプロ入りし、翌89年には「全仏オープン」で初優勝を果たした。17歳3カ月での4大大会初優勝は、史上最年少記録。92年、全米オープン準決勝では、ステファン・エドベリを相手に同大会の最長試合記録である5時間26分をかけ破れた。体格に恵まれなかったため、ベースラインで粘り強くボール拾い続けるプレースタイルで「最もメンタルが強い選手」とも称された。94年「ウィンブルドン大会」8位、95年「全仏オープン」2位、96年「全豪オープン」「全米オープン」2位と第一線で活躍し続け、2003年の全米オープンを最後に31歳で現役を引退。自己最高世界ランクは2位(96年)、生涯獲得タイトルはシングルス34勝。08年7月には、国際テニス殿堂入りを果たした。

(2014-9-8)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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