日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクシム・グレーク」の意味・わかりやすい解説
マクシム・グレーク
まくしむぐれーく
Максим Грек/Maksim Grek
(1470ころ―1556)
ロシア正教会の神学者。俗名ミハイル・トリボリス。アルバニアのアルタ生まれのギリシア人で、イタリアで勉学、人文主義者とも交わり、1505年ごろアトス山で東方正教会の修道士となる。モスクワ大公ワシーリー3世Vasili Ⅲ(在位1505〜1533)の要請により、コンスタンティノープル総主教テオレプトス1世Theoleptus Ⅰ(在位1513〜1522)によりモスクワに派遣され(1518)、ギリシア語文献の翻訳に携わった。しかし、ロシア正教会の所有派による修道院制の世俗化を批判し、ニール・ソルスキーの非所有派を擁護したために、1525年モスクワ府主教によって異端のかどで逮捕され、死の5年前に釈放されるまで修道院に幽閉され続けた。
[山川令子 2018年2月16日]
『Ernst BenzRussische Heiligenlegenden (1953, Zürich)』▽『Н.В.Синицына:Максим Грек в России(1977,Москва)』