マスケット銃(読み)マスケットじゅう(その他表記)musket

翻訳|musket

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マスケット銃」の意味・わかりやすい解説

マスケット銃
マスケットじゅう
musket

前装式の,肩にあてて構え発射する銃 (→先込め銃 ) 。 16世紀にスペイン火縄銃の大型版として開発され,19世紀半ばに後装式のライフル銃に取って代わられた。点火方式は初め火縄式だったが,17世紀に火打石式になり (→燧発銃 ) ,19世紀初期に雷管式に移行した。初期のマスケット銃は2人で操作されることが多く,移動が容易な支柱から発射された。長さ 1.7m,重さ約 9kgで,約 60gの弾丸を 160mほど飛ばすことができたが,命中精度は低かった。後期のマスケット銃は小さく軽くなり,命中精度も向上して,100m近く離れた人間大の的に命中させることができた。口径は,1.75cmから,1.9cmをこえるものまであった。

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世界大百科事典(旧版)内のマスケット銃の言及

【小銃】より

…(4)用途による分類 小銃には特殊なものとして,(a)銃身が短く馬上で使いやすくした騎兵銃(カービン銃),(b)遠距離の射撃精度を向上させた狙撃銃などがある。なお,かつては滑腔式の軍用長身銃をマスケット銃musketと呼び,これに対し腔線(ライフル)を施した銃をライフルと呼んで区別していたが,すべてが施条銃となった今日,小銃をライフルもしくはライフル銃と呼ぶことが多い。
[沿革]
 小銃は13世紀モンゴル軍がヨーロッパ遠征に使用し,ヨーロッパではベルギー人が最初に使用したと伝えられる。…

※「マスケット銃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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