改訂新版 世界大百科事典 「マスケリナイト」の意味・わかりやすい解説
マスケリナイト
maskelynite
斜長石組成のガラスで,隕石衝突の際発生する強い衝撃波で非晶質化してできたもの。比較的低温で固相より直接変わったものである。地球および月の衝突クレーターに産出することが知られており,また強度にショックを受けた隕石中には普通に産出する。シャーゴッタイトというエコンドライト隕石中に最初に認められた。衝撃実験あるいは核爆発実験でもつくられる。同一組成の普通のガラスより高い密度と屈折率をもち,液体となって流れた模様や穴のないことより,普通のガラスと区別できる。もとの結晶の形をそのままとどめている。このガラスは光学的にはクロス・ニコル下で等方性で,明瞭なX線回折線を示さない。マスケリナイトの存在はショックを受けたものかどうかの判定に使われる。
執筆者:武田 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報