改訂新版 世界大百科事典 「マスチフ種」の意味・わかりやすい解説
マスチフ[種]
mastiff
原産地がチベットの番犬。マスチフとは巨大犬の意で,前数世紀からチベット地方に存在した地犬で,チベタン・マスチフTibetan mastiffの後裔(こうえい)である。現在の世界の超大型種はほとんどがこのイヌを基礎とするか,またはその血液を取り入れており,古代犬種の一つである。現在のマスチフが確立されたのは18世紀ころであるが,15世紀にはすでにヨーロッパで純粋繁殖が行われていたという。大きな頭蓋と太い口吻(こうふん)の持主で恐ろしげな厳しい容貌をしているが,性格はもの静かでよくなれ,穏和,筋骨たくましく,被毛はやや短い。毛色は一般に明るく,アプリコット(あんず色),ファウン(茶),シルバー・ファウンなど一色で,ほかにブリンドル(虎毛)がある。ただし,耳と口吻は暗色で,とくに口吻の色は濃く,黒に近いほどよい。体高は雄75cm以上,雌69cm以上で上限はない。
執筆者:一木 彦三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報