日本大百科全書(ニッポニカ) 「マスチフ」の意味・わかりやすい解説
マスチフ
ますちふ
mastiff
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科の動物。家畜イヌの1品種で、チベット地方のマスチフが中近東からヨーロッパに渡って作出されたとみられる。巨大で重厚みがあり、筋肉がよく発達し、体つきも頑健で力強い。短毛で、頸(くび)も太くてたくましく、のどには皮膚のたるみがある。古くから番犬、獣猟犬、護身犬として飼われ、古代ローマ帝国時代は闘犬としてライオン、クマ、ウシなどと戦わされた。マスチフが3頭いればクマを倒し、4頭いればライオンに勝つとさえいわれたほどの強い闘争力をもつ。毛色はフォーンや虎毛(とらげ)で、口吻(こうふん)、耳、目の周囲、鼻などは黒いものがよいとされる。体は大きいものが好まれ、体高は雄で75センチメートル以上、雌で68センチメートル以上。日本では土佐闘犬の作出に用いられた。
[増井光子]